[0020]X線応力測定の測定精度

 X線残留応力測定センター info@x-rsmc.com  は、鋼とアルミを対象に安価かつ短納期の応力測定サービスをご提供しています。

    測定精度の解説のための情報をお客様にご提供します。

当社の機器の測定精度は、他社に比べて著しく高いということも低いということもありません。なぜなら測定精度は、お客様の材料の状態で決まるからです。

現在のメジャーな方法 cosα法とsin2ψ法は、両方とも被測定材料に3つの条件(①均質等方性であり、②平面応力のみ、③(X線が侵入する深さ内の)応力勾配なし)を仮定しています。実際には、特殊な金属を除き3つの条件を厳密に満足していません。その誤差が測定誤差になりますが、多くの場合は、機器の誤差より材料の誤差が大きいのです。

状態の良い材料は精度がよい。 状態の良い材料の意味は、応力測定で仮定した材料の式と実際の材料の性質が近いです。式との誤差が小さいという意味です。標準試料やハイテンは、比較的誤差が小さく、粗大結晶や強集合組織は、誤差が大きくなります。

現在のメジャーな方法 cosα法とsin2ψ法は、両方とも被測定材料に3つの条件(①均質等方性であり、②平面応力のみ、③(X線が侵入する深さ内の)応力勾配なし)を仮定しています。材料が3つの条件を満たしている時には2つの方法で測定値はほぼ同じで正確に測定できます。

①標準試料の場合

②自動車用ハイテンの場合

リガクの古い応力測定装置と当社のパルステック製の機器で同じ自動車用の部品を測定する機会がありました。50点ほどを2つの機器で測定しました。X線の照射範囲内で応力が変化していないと思われる応力勾配が少ない測定位置では2つの機器の測定値がよく一致しました。

会社も違う 年式も10年以上違う、方式もsin2ψとcosαで違う、2つの機器の測定値がよく一致しました。これがX線応力測定の魅力でして

①X線の波長が安定していることと

②巧妙に機器等のずれ、測定誤差を相殺するような計算をしてる等の理由で良い条件のもとでは高い精度がでます。

蛇足ながら日本ではこれまでリガクの測定器がほぼ市場を独占していたのでリガクとは違う値がでる機器を売ることはできません。

精度の良い材料の条件とは、原理的には、

3つの条件(①均質等方性であり、②平面応力のみ、③(X線が侵入する深さ範囲の)応力勾配なし)ですが。

実際の測定では、さらに以下の条件が加わります。

これらの条件を満たすと 熱処理の温度差による残留応力差の測定では、15MPaの差(温度で50度)を識別できました。

精度の悪い材料は、

①集合組織 cosα法とsin2ψ法の応力値が違う場合参照

②応力勾配 cosα法とsin2ψ法の応力値が違う場合参照

③粗大結晶粒で、標準偏差が100MPaを越えることがあります。測定値もばらつきます。

結論 測定精度は、多くの場合、被測定材料の組織と表面の状態で決まります。機器の測定精度と材料の測定精度の悪い方で律速されるのでほとんどの場合は、材料で決まります。

精度よく測定できているかの検証は、測定条件を変えて測定を行います。測定値が大きく変わらなければ精度よく測定できている。測定値が大きく変わる場合は、被測定材料に3つの条件に合致していない。と判断できる場合が多いと考えます。

詳細はウエブサイトでは公開できないので、ご連絡をお願いします。ご説明できる場合があります。

関連事項

使用測定機器

cosα法とsin2ψ法の応力値が違う場合

assumptions  [炭素鋼][アルミ][ステンレス][弾性等方性] contradict[集合組織][応力勾配][粗大結晶][3軸応力]