[0109]半価幅による加工ひずみの評価

半価幅は、転移密度と結晶粒径の関数です。応力の増大とともに半価幅も増大します。特に塑性域で大きく増加します。

下左図に引張試験のS-S 曲線 下右図に、その時のX線回折プロファイルを示します。プロファイルの高さ半分のプロファイルの幅が半価幅となります。300MPaに対して600MPaでは、半価幅が増加していることがわかります。

半価幅は、鋼材、測定機器や測定条件でも変わりますが、当社の機材で標準条件では、SM490で0MPaで2.5 度程度破断時は、4程度になります。

回折 X 線プロファイル解析を用いた引張負荷による 鋼の微視構造変化と力学特性の評価 ,鉄と鋼,Vol99(2013),No5

穴広げ試験や引張試験で破断まで試験を行なった後に応力を測定すると高い応力が測定されない場合があります。確かに破断時には、試験機より高い荷重が試験体に付加されているのですが、試験機から離れると応力が再配分されて圧縮になってしまうことがあります。試験後の応力で破断の危険度を評価するのは難しいです。しかしながら半価幅には、高い応力が付加された痕跡が残っています。半価幅によりキレツが発生するまでの余裕を推定することができます。

写真2 引張試験による破断

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参考文献

https://www.jstage.jst.go.jp/article/tetsutohagane/99/5/99_99_TETSU-2012-092/_pdf/-char/ja