[0163]厚み側面が薄くて応力測定ができない場合は、近い面で代替できるか?

断面測定の平行面での代用

バネ、チェーンの疲労寿命の延長対策としてショットピーニング が用いられます。破壊は主に断面から発生しますが、断面が薄く、断面の直接測定が困難である場合が多くなっています。その場合に平行面の応力値で断面の応力値を代替できるかを検討します。

ショットピーニングを施した約0.8mm厚の鋼板について断面と近傍の平行面で応力を測定して、断面と平行面の応力の関連性を示します。AとBにはショットピーニング の条件の違いがあります。

図1にA,Bの断面の応力値の深さ方向分布を示します。ショットピーニング の条件差によりBの方がAより深く圧縮応力が入っています。

隣接する平行面の応力(点線)を加えてみます。

①平行面は断面より深く圧縮応力が入っており断面と平行面の応力の絶対値には差が認められます。②しかしながら断面と平行面には相関が認められ、条件Bの方がAより深く圧縮応力が入っています。したがって、条件Aと条件Bの優劣を決める目的であれば、断面の測定を平行面で代用することができ、特に直接測定できない0.6mm以下の薄板には有効と推定されます。