[0038]疲労破壊と原因調査
X線残留応力測定センター info@x-rsmc.com は、鋼とアルミを対象に安価かつ短納期の応力測定サービスをご提供しています。疲労破壊の問題解決をされているお客様へ情報を提供します。
技術レベルや無謬性の高い解説は他にありますので、わかりやすさを心がけて作成しています。
繰返し応力と破壊する回数 S-N 線図 (平板の場合)
引張試験で1回力を加えると壊れる応力を引張強さと呼びます。これを振幅100とします。これから応力振幅を指数で表します。たとえば、使用する材料の引張強さが500MPaの場合は、指数を5倍して考えてください。
1万回応力を加えると壊れる応力は、だいたい降伏応力に一致します。これを、70とします。
100~1000万回加えても壊れない応力は、疲労限といい40くらいです。
ここで説明するのは基本的な事項なので実際には、降伏応力は、50から90まで鋼種、熱処理によって変わりますし、疲労限も40−50変わります。適宜読み変えてください。図も今は、数字等統一されていません。少しづつ修正していきます。細かなところが気になる方は、教科書等を参照ください。
この応力(Stress)と破壊する繰返し回数(N)の関係を示す線をSN曲線(S-N線図)と言います。
S-N曲線は、応力集中があると下へ(応力)が小さい方へ移動します。
また、引張りの残留応力があると下へ(応力)が小さい方へ移動します。ただ、外部からの応力が大きい場合は、初期の残留応力の影響は大きくありません。外部からの応力が小さいほど影響を受けます。また圧縮残留応力がある場合は、上へ(応力)が大きい方へ移動します。
引張残留応力が大きく応力集中のある溶接継手では、S-N曲線は、かなり下がります。疲労限を比較します。JSSCの指針では、板の場合は、強度等級Aで疲労限は、190MPaですが、面外ガセット継手だと溶接ままで強度等級Gで50MPaに下がってしまいます。しかも、50MPaは、鋼材の強度があがっても低いままです。
疲労において寿命が短くなって壊れてしまうのでどのような原因でしょうか?それは、
S−N曲線が設計より下がってしまうために破壊までの応力付加回数が少なくなる。
外部からの応力が設計より上がってしまうために破壊までの応力付加回数が少なくなる。
S−N曲線が設計より下がってしまう場合とその調査方法
材料の強度が設計値より低くなる。
材質が設計と違い強度が低下する 化学分析で成分を測る。引張試験、硬度測定を行う。
組織が設計と違い強度が低下する 組織観察で組織を確認する。
キズ、介在物等があり材料内部で応力集中がおきる。探傷試験を行う。
設計より応力集中が大きくなる。
形状が設計と違うために応力集中が大きくなる。外観検査、形状測定行う。X線で応力を測定する。
表面の性状が粗いために応力集中が大きくなる。粗さ測定を行う。
外部からの応力が設計より上がってしまうの調査方法
X線で応力を測定する。ひずみゲージで応力を測定する。
繰り返し荷重が1万回以上で破壊する場合は、残留応力の改善で問題が解決する場合があります。まずは、ご相談を